貸金業務取扱主任者 過去問
令和3年度(2021年)
問39 (貸付け及び貸付けに付随する取引に関する法令及び実務に関すること 問39)
問題文
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問題
貸金業務取扱主任者試験 令和3年度(2021年) 問39(貸付け及び貸付けに付随する取引に関する法令及び実務に関すること 問39) (訂正依頼・報告はこちら)
- 債務者は、譲渡制限の意思表示がされた金銭の給付を目的とする債権が譲渡されたときは、その債権の全額に相当する金銭を債務の履行地(債務の履行地が債権者の現在の住所により定まる場合にあっては、譲渡人の現在の住所を含む。)の供託所に供託することができる。
- 債権の譲渡は、その意思表示の時に債権が現に発生していることを要しない。
- 債権の譲渡は、譲渡人が債務者に確定日付のある証書による通知をし、又は債務者が確定日付のある証書による承諾をしなければ、債務者に対抗することができない。
- 債務者が対抗要件具備時より後に取得した譲渡人に対する債権であっても、その債権が対抗要件具備時より前の原因に基づいて生じたものであるときは、債務者は、その債権による相殺をもって譲受人に対抗することができる。ただし、債務者が対抗要件具備時より後に他人からその債権を取得した場合はこの限りでない。
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この過去問の解説 (2件)
01
債権譲渡とは、文字通り債権を譲渡することです。
厳密には、自分の取引相手(債務者)が第三者(第三債務者)に対して持っている債権を譲渡してもらい、その取引相手の代わりにその第三者からお金を回収する権利を得ることを言います。
また、供託とは、金銭や有価証券などを国の機関である供託所に提出して、その管理を委ね、最終的には供託所がその財産をある人に取得させることによって、一定の法律上の目的を達成しようとするために設けられている制度を指します。
これらの基本的な知識を踏まえた上で、それぞれの条文について知識を身につけていきましょう。
(〇)
債務者は、譲渡制限の意思表示がされた金銭の給付を目的とする債権が譲渡されたときは、その債権の全額に相当する金銭を債務の履行地(債務の履行地が債権者の現在の住所により定まる場合にあっては、譲渡人の現在の住所を含む。)の供託所に供託することができる(民法466条の2)。
→選択肢と矛盾しないため、正しい。
(〇)
債権の譲渡は、その意思表示の時に債権が現に発生していることを要しない(民法466条の6)。
→選択肢と矛盾しないため、正しい。
(×)債権の譲渡(現に発生していない債権の譲渡を含む。)は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない(民法467条1項)。
→選択肢と矛盾するため、誤り。
(〇)債務者は、対抗要件具備時より前に取得した譲渡人に対する債権による相殺をもって譲受人に対抗することができる(民法469条1項)。債務者が対抗要件具備時より後に取得した譲渡人に対する債権であっても、その債権が次に掲げるものであるときは、前項と同様とする。ただし、債務者が対抗要件具備時より後に他人の債権を取得したときは、この限りでない(民法469条2項)。
一 対抗要件具備時より前の原因に基づいて生じた債権
二 前号に掲げるもののほか、譲受人の取得した債権の発生原因である契約に基づいて生じた債権
→選択肢と矛盾しないため、正しい。
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02
債権譲渡とは、債権者が債務者に対して有している債権を、第三者に譲渡することを言います。
内容が適切で、誤った選択肢です。
「供託」とは、金銭やなどを供託所に提供してその管理を委ね、最終的には供託所がその財産をある人に取得させることによって、一定の法律上の目的を達成しようとするために設けられている制度です。
つまり、債権者が金銭を受け取ってくれない場合や、債権者の住所地が調べてもわからず債務の弁済ができない場合などに、国の機関である供託所に金銭等を持参して債務を弁済したことにできる仕組みです。
民法466条の2は以下のとおり定めています。
したがって、選択肢の内容と一致しますので、内容が適切な選択肢です。
内容が適切で、誤った選択肢です。
難しいですが、要するに、将来発生する債権であっても、譲渡することができるという意味です。
将来債権の譲渡可否については、民法改正前は議論があったもの、改正民法466条の6第1項に以下のとおり規定され、可能であることが明文化されました。
したがって、選択肢の内容と一致しますので、内容が適切な選択肢です。
内容が適切でなく、正しい選択肢です。
難しい選択肢ですので、ひとつひとつ解説してきます。
まず、民法における「対抗要件」とは、譲受人が競合した場合に、一方の譲受人が他方の譲受人に自己の権利を対抗するための要件です。
債権譲渡における「対抗要件」は、誰に対抗するかによって異なります。頻出かつ間違い易いので、次の表で整理して覚えましょう。
確定日付ある証書により
債務者に通知をしたこと 又は 債務者の承諾を得たこと
「確定日付ある証書」とは、公証人によって確定日付印が押印された私文書など、その日付が確定しており変更できない証書のことを言います。
具体例で検討します。
債権者Aが、Bに対して自己が有する「金銭債権α」をCに譲渡しました。このことを債務者に対抗する(CがBに対して、金銭債権αの債権者は自分だと主張する)ためには、譲渡人AがBに対し、債権譲渡をしたことを通知するか、又は債権譲渡についてBから承諾をえることが必要です。
これを得ていないと、Cは金銭債権αの債権者は自分であると主張することはできません。
次に、債権者Aが、Bに対して自己が有する「金銭債権α」をCに譲渡し、さらにDにも譲渡してしまいました(二重譲渡)。この場合、CとDはともに自分が金銭債権αの債権者は自分だと主張します。そのため、どちらが優先するか(勝つか)という問題になります。
その際に、確定日付ある証書により、債権譲渡をしたことを通知するか、又は債権譲渡についてBから承諾を得ることが必要です。
つまり、CはBに確定日付ある証書によって譲渡を通知していたが、Dは口頭で通知していた場合には、Cが優先するということです。
なお、CもDも確定日付ある証書にて対抗要件を満たした場合には、日付が早い方が優先します。
そして、同時(同日)に対抗要件を満たした場合には、CもDも債権者と認められますので、Bはいずれか一方に債務を弁済すれば、他方に対する債務を免れます。
設問に戻ります。設問は「債務者に対抗することができない。」として債務者対抗要件について聞いています。
上の表のとおり、債務者対抗要件については確定日付ある証書は不要ですから、この選択肢は誤りです。
内容が適切で、誤った選択肢です。
民法469条2項本文、1号は以下のとおり定めています。
「前項と同様とする」というのは、「債務者は、対抗要件具備時より前に取得した譲渡人に対する債権による相殺をもって譲受人に対抗することができる。」(469条1項)ということです。
難しいので具体例で検討します。
債権者Aは債務者Bに対し、貸金債権αを有しており、これを1月1日にCに譲渡し、対抗要件を具備しました。他方で、BはAに対し、前年12月30日にお金を貸したことに基づく貸金債権βを有していました。この状況で、1月3日にCがBに対し、債権を弁済しろ、と言ってきたとします。
相殺は、債権者と債務者が相互に債権債務を負っていないといけません。1月3日時点において貸金債権αの債権者はCですから、BはAに対する債務である貸金債権βとの相殺を主張できないことが原則です。
しかし、469条2項本文、1号の規定により、対抗要件の具備よりも前に原因が生じていた債権については相殺できるとされているところ、
貸金債権βは、対抗要件を具備した1月1日よりも前の前年12月30日にお金を貸したという原因に基づいて生じた債権です。
したがってBは、Cに貸金債権βとの相殺を主張でき、これが認められる、ということです。
選択肢の内容と条文が一致しますので、内容が適切な選択肢です。
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